第 3 綴 元機関士達の追憶と夢


 話しをうかがえるのは、保存活動をしている方達のであり、蒸気機関車を操ったのは当然これらの方々が若い頃のこと。だから、その後ディーゼルや電気機関車あるいは電車の運転士を経験されて居ながら、思い出は若い頃に集中する。そういう傾向は確かに有るだろう。でも、やはり蒸気機関車は機関士と機関助士が息を合わせ、あの超重量級のでっかい図体の機関車を自分たちの腕で自在に操った記憶が強烈で鮮明なのだろう。その醍醐味は、ディーゼル機関車、電気機関車、電車では味わえないという。それだけ、機関車を通して機関車自体にもそれを操る人たちにも廃止から30年以上経過した今も昨日のことのように蘇るドラマが有った。大きな黒い鉄の塊ながら、人間くさい機械だった。その記憶は、戦争時代にも及ぶ。それだけ鮮烈な記憶としてこれらの皆さんの心に残っている。我々も、体験したことのない戦争を、それが何だったのか、機関車を通してその実態に迫ることができる。

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